現代ならではの温かくも脆い親子物語
mori さん
引きこもりの青年が、虐待されている少女を連れ出して親子ごっこのような生活を始める物語。
社会からはじき出されそうな立場のふたりの、まるで初恋同士の恋人のような疑似親子関係が、温かくも危うく脆い感じがして、とても惹きつけられました。
何より、青年を演じる千原ジュニアの熱演が素晴らしく、不器用な愛情と、彼女の幸福のために行動せずにはいられないあふれだしそうな情熱が伝わって泣かされてしまいます。
映画は殺人罪で服役している現在の彼の姿から始まるので、彼が殺人を犯すことは最初からわかっているのですが、その理由がどうにも納得できないのが唯一の難点でした。少女の幸福のための選択とは思えなかったので・・。
主人公二人の設定もとても現代的ですが、そのほかにも年金の不正受給など、ニュースで聞くだけで実感のない言葉の実態が描かれていて、現代を描いた作品としても興味深かったです。