不愉快極まりない恋人たちのどこまでも堕ちていく様子と意外にもピュアな想いが見どころ
fu さん
ヒロインの十和子を、蒼井優が今までのイメージを覆すほどの怠惰で気だる気な表情を浮かべて演じていました。
汚い言葉で並べ立てて悪質なクレーマーぶりを披露したり、周りの男たちを遠慮会釈なく毒づく様子には驚かされます。取り込まれたままで畳まれることのない洗濯物と、お菓子の空き箱や飲みかけのカップ飲料で散らかった十和子の部屋が印象的でした。
自堕落な毎日を繰り返していく女に、報われることがないと知りながらも彼女に尽くし続けていく男の後ろ姿が哀愁たっぷりです。世間一般の常識からすると決して共感することが出来ないはずの登場キャラクターたちの中にも、いつしか不思議な親近感が涌いていきました。
クライマックスでの、夕暮れ時の十和子の表情が圧巻です。目の前の衝撃的な出来事に向き合うことなく、視線を空高くに向け天を仰ぐような仕草には忘れ難いものがあります。