感想の削除

年齢を重ねた木村拓哉の凄み

フローレン さん

5

もともと原田眞人作品のファンとして『きっと男臭い作品になるんだろうなぁ』と思って、原作も未読の状態で情報をシャットアウトして観に行ったのですが。

それが大成功でした。良い意味でガツンと裏切られ、見終わってから呆然。暫くシートから立ち上がれませんでした。

木村拓哉演じる優秀な検事の最上は、かつての教え子の沖野(二宮和也)と二人で下町の工場で起こった老夫妻殺人事件を担当することになるのですが、その容疑者であった松倉という正体不明の男に対面します。

彼は、かつて最上がいつくしんだ少女を殺害したという凄惨な事件の容疑者として浮上したものの、決定的な証拠がなく世に放たれてしまった、そんな因縁の相手でした。

捜査が進む中でさまざまな思惑が入り込み、今度こそ松倉に法の裁きを与えたい、と執念を燃やす最上と、彼の急激な変貌に疑惑を持った沖野がそれぞれの信念に従って捜査を進めた結果、大きな悲劇が引き起こされていくのです。

どちらも譲らない最上と沖野の二人を木村拓哉と二宮和也が演じること自体が凄い、と思いましたが。画面の中でぶつかり合う二人の凄みは、それまでに見たことがない研ぎ澄まされた刃物のぶつかり合いのようでした。

まだ、観たことがない方には、予備知識なしで観て頂きたいと思います。目の表情、指先に見える仕草、そんな一瞬も目が離せない、若かったころの木村拓哉よりもずっと凄みと円熟味を増した存在感は必見です。

キムタクは何をやってもキムタクのまんま、という評がありますが。それの何が悪いのか?!と思います。

彼が、彼としてそのキャラクターの人生を生きて、その姿を私達に見せてくれるのです。文句を言う前にその芝居をまず見て欲しいですね。全ての人でなくても、その何割かには理解してもらえると思います。

木村拓哉は凄い。その彼が演じる最上の苦悩は、正義なのか、悪なのか。観終わってからもきっと翻弄されるはずです。その余韻こそが、この作品の魅力なのだと思います。

削除用パスワード: